NC合金とは

NC合金はコルソン合金をベースに、特定第一種指定化学物質の1つであるベリリウムを含まないベリリウム銅代替材料として新しく開発された材料です。
主要添加元素であるNiとSiを目的に応じてバランス良く配合することで、Ni2Si量の最適化を行い、またCrおよびSnを添加することによって析出強度が促進され、高い耐熱性とともに優れた機械的性質と物理的特性を兼ね備えております。

ベリリウムの毒性について

ベリリウム化合物には毒性があるので、ベリリウム銅合金についても安全上注意すべき点がある。
固体や最終製品についてはベリリウム銅が健康へ特に影響をあたえることはないが、加工時の粉塵や溶接時のヒュームを吸い込むと、肺に深刻な影響の出る危険性がある。
また、ベリリウム化合物は国際がん研究機関によって発がん性があると勧告されている。

NC25

NC25は高ベリリウム銅に次ぐ高い強度を実現すると同時に、耐熱性ではベリリウム銅25合金を上回ります。
高い熱伝導性と鋼材に匹敵する強度を兼ね備えており、電極の他にプラスチック射出成形金型の材料としてもご利用いただけます。

【主な用途】
抵抗溶接用電極/溶接機部品(アーム、ホルダー、治具)/プラスチック金型材料

NC50

NC50(特許第3563311号)は低ベリリウム銅合金と同等の性能を持ち、冷間加工の入った引抜品はJIS Z3234 第3種の規格を満足致します。
電極材料や関連治具、その他あらゆる場面で使用可能な製品です。
特にダイカストマシン用プランジャーチップに使用する事で優れた耐摩耗性による長い寿命潤滑材の節約とダイカスト製品の品質向上待ち時間(サイクルタイム)の短縮による生産性の向上が実現します。

【主な用途】
抵抗溶接用電極/チップベース/ガンアーム/プランジャーチップ

NC合金の実用例

どちらの材料共、ダイカストマシン用プランジャーチップに使用可能ですがNC50が特に最適です。
開発後これまでの数年間で飛躍的に実績を増やし、現在では大手自動車メーカーでプランジャーチップとして常時使用されております。
そして、日本最大手のダイカストマシンメーカーの一社でもテストを重ね、使用されつつあります。
また、NC合金はプランジャーチップ以外でも非常に過酷な条件下で使用されるエンジンの摺動部材としても、その優れた性能を発揮し、ホンダのF1優勝という輝かしい実績を残しております。
更に、高い硬度と優れた耐摩耗性から、ジェットコースター等のブレーキ材料としても使用され、従来材と比較して10倍以上の長寿命化も実現させています。
抵抗溶接の分野では優れた電極材料として鉄鋼会社のシーム溶接用の電極用に採用され、携帯電話の分野では水晶発振器など小さな部品のマイクロ溶接用電極などへも応用されています。
また、NC25は米国の大手航空機部品メーカーにも納入しております。

金型への応用

NC合金は、一般的に金型に使用される金型鋼と比べて熱伝導性は3倍以上とはるかに優っており、高強度であるベリリウム銅と比べても優れています。
このNC合金の高い熱伝導性を樹脂成形金型に活かして、成形サイクルを短縮させることによってメリットを生み出します。
P-20 系鋼材の場合に比べ、NC合金は10倍以上の価格差ですが、5万ショット以上成形する場合には、材料費を埋め合わせることが可能となり、10万ショットではかなりのメリットが期待できます。